「エスケープ」読了
地道な取材を元に"勝負の綾"を書き切った、ミステリーの
様なドキドキ感のある良作です。
著者:佐藤喬
出版社:辰巳出版
版型:B6
価格:本体1,500円+税
発行年月:2015年7月
6月末に2015年全日本選手権ロードレースに関するBlogを
書きましたが、この本は2014全日本RRを取材し、選手への
インタビューを元に綴られたスポーツドキュメンタリーです。
全日本RRは、普段のJ Pro Tourと異なり外国人選手が出ない、
純粋に日本人No.1を決める特別な大会です。
この本では、221.2km(雨天で252.8kmから短縮)、5時間41分
にも及ぶ長距離レースを、事前準備から時系列で臨場感
タップリに描いています。
自分は出場資格も実力もなくて2014大会に出場出来ません
でしたが、2011、2012に出場した時と同じ岩手県八幡平で
開催されたレースなので、とても興味深く一気に読みました。
自転車好きなら、ニュースサイトのcyclowiredやcyclist-
sanspoや、各選手のblog等である程度レースの裏側を知る
ことが出来ますが、それでも、ここまでの情報は得られません。
自転車漫画等の影響もあり、自転車ロードレースの認知度は
少し向上しているかも知れませんが、この本に書かれている
「レースの深み」や「選手同士の駆け引き」が一般に伝われば、
駅伝やマラソンを見るのが好きな日本人には自転車レースが
受けるはずと感じました。
ちょっと高価な割に、八幡平の美しい景色の中を走る選手達の
カラー写真が少ない点は残念ですが、オススメしたい本です。
図書館とかでも良いので、気にかけていただけたら嬉しいです。
下記URLは、同レースをまとめたCYCLOCHANNELの動画です。
エスケープを読んだ後に見ると、更に興味深いです。
って言うか、ちょっと泣けてきます。
確かにブリヂストン・アンカーの清水都貴(ミヤタカ)選手は
かなり絞れていて、今見ると悲壮感が伝わりますね…。